父から娘へ2 〜1960年代、僕が10代で映画を見始めたころのこと

 

   ブログにまとめるため、10代の頃の映画に関する記憶を呼び起こそうとしているのですが、系統立ててしっかりとは思い出せないものですね。半世紀も前のことなので、話が前後することなど今後あるかも知れませんが、その際はお許し下さい。ということで、思いつくままに映画を見始めた頃の話を書き記したいと思います。

 

  高校時代に衝撃を受け、その後の映画人生に多大な影響を及ぼした作品が2本あります。

 

  その1本は「天使の詩」(1967年公開)。初めて泣いた(号泣!)作品で気恥ずかしくてしょうがなかったことを覚えています。

 

天使の詩  [HDマスター] [DVD]

天使の詩 [HDマスター] [DVD]

 

 

   それまでは007シリーズ等スパイアクション物とかの娯楽作品を見ることが多かったので、映画を見て泣くなんて考えられませんでした。映画館通いをしているうちに偶然感動作に出会えたということなんですね。

 

  内容はといえば、お母さんを亡くした少年がお父さんの色んな誤解のせいで死んでしまう話で、見ていてその心情が堪らなく辛かったのでしょうね。イタリア映画で確か原題も「誤解」だったのでは。17歳で多感だったんですよ、お父さんも。この映画は当時かなりヒットしたみたいだったので涙にくれた観客も大勢いたと思います。何年か後に任侠映画を見るようになってからは、しょっちゅう殴り込みの場面とかで泣いていましたから、二十歳を過ぎて一気に涙の質が変わってしまったのかもしれません。

 

  もう一本の衝撃作は「男性・女性」(1968年公開)という作品。

 

 

  この映画は実は音楽でも有名な名画「男と女」を見ようとして間違って見てしまったもので、その衝撃度は超メガトン級。この映画と出会ったことでお父さんの将来の道筋がほぼ決まったといっても過言ではありません。勘違いで見た映画で将来が決まるなんて嘘みたいな話なのですが、本当なんです。でもこの映画からアート系映画、今で言うミニシアター系列映画の存在を知ることになるのですから、それぞれの映画との出会いは本当に大事にしないといけないですよね。

 

  この映画は当時のフランスの若者たちの姿をアジテーション風の台詞の氾濫で浮かび上がらせようとする新形式の青春映画と言えるでしょうか。いわゆる思索を強いる種類の作品内容で、なんだこの映画はと唖然としながら画面を見つづけていました。今まで見てきた活劇やストーリーを楽しむエンターテイメントな娯楽作品とは明らかに違う種類の映画との遭遇に目からウロコ状態を味わいましたよ。でも新鮮な感動を覚えたのも事実で、理解を深めるため映画パンフレットを購入。採録シナリオ入りだったのにはただただびっくり。格好つけた言い方をすれば知的好奇心に訴えかけられる作品だったようですね。この時、<atg>というアート系映画の配給会社を知ったのも収穫でした。この映画の監督が当時の映画青年から熱狂的に支持されていたゴダール監督と気づいたのはその後しばらく経ってからのことでしたが、この日を境にして勘違いで入場した<名宝文化>という映画館で名画をみる機会が増えてきました。

 

  今回は少々ややこしい映画の話しばかりになってしまいましたが、映画館勤務がはじまってかなり早い時期に系列館のミニシアター担当支配人に抜擢されることになったのは、この「男性・女性」との突然の出会いがあったればこそと今も信じて疑いません。お父さん自身の話より、携わった映画館の話を早くしたいのに寄り道が多くなってしまって。次回から少しずつ映画館のことにも触れていきたいと思いますので、今回の寄り道話はご容赦ください。

 

  先週見た「64-ロクヨン-後編」がまずまず面白くて、傑作だった前編を併せて久々の大人の観賞に堪えられる力作に仕上がっていました。今年を代表する名画として年末には脚光を浴びるのでは。誘拐事件のサスペンスより警察組織の緊張関係が胸をえぐられるようで面白かったですね。テレビでも構いませんので、機会があれば是非見て下さいね。


「64-ロクヨン- 前編/後編」 予告

 

 

父から娘へ

  思いがけない父の日の「ブログ」のプレゼント有り難う。お父さんはお酒がまったく飲めないので、例年のようなジュースやコーラなどの庶民的?な贈り物で十分だったのに、今年もそんな類いのプレゼントのことを実際うっすらとはいえ思い浮かべていました。

  それが今年は「ブログ」。内容は好きな映画の話題で良いとのことで、また結婚して新たな家族を築いた娘とこういう形で話が出来るのも楽しいのではとの思いもあって、慣れない「ブログ」でも少々頑張ってみようかなという気持ちに今なっています。

最初に見た映画と言っても色々とありすぎるので、これらの詳しい話はまた別の機会にしっかりと披露したいと思います。二人の姉に連れられて見た石原裕次郎の映画や東映チャンバラ映画、東宝の怪獣シリーズなどがまず小学校時代に見た映画としては思いあたります。まあそういった作品が注目されていた時代だったですね。高校に入学してからは映画好きな担任の先生の影響を受けて、ようやく映画館に一人で出かけるようになりました。「ミクロの決死圏」という人体内を探索するSF映画がまずは印象に残っています。名古屋駅前で見ました。この時期の映画も話し出せばキリがありませんので、また後日しっかりと語りたいと思います。

 

 

  映画を見はじめた当初は今の年齢になるまで映画を見つづけることなど想像つきませんでしたが、現在も映画ファンとしては現役。ウディ・アレン監督の佳品「教授のおかしな妄想殺人」を一昨日観賞。今まで見た映画の総作品数はといえば、もう一万本くらいになっているのでは。基本は映画館で、テレビやビデオ・DVDにテレビ有料チャンネルの放映作品併せてですが。一年間で500本くらい観た年もありましたよ。

 


『教授のおかしな妄想殺人』予告編

 

  こんな話ばかり連ねていくとやはりキリがありませんので、まずは初回はこの辺りで切り上げたいと思います。

 

  そうそう、お父さんが従事していたのは館長ではなく映画館支配人なんですよ。お店の店長みたいな職で、博物館や美術館なら館長なんですかね。念願の映画興行会社に入社出来たので、夢は支配人と周囲の人とかに話をしていたら、2年後にはその支配人就任。28歳で早々と夢実現、夢何だったんでしょう。そういえばこの年の5月にお母さんと結婚できたのも、何かの巡り合わせだったのでしょうかね。

娘から父へブログのプレゼントです。


父さんへ


父の日にあわせて、ブログを作ってみました。慣れなくて時間かかっちゃったけどごめんなさい。


大学の映画学科を卒業して、映画館で勤め、館長まで勤めた父さんに映画についていろいろ語ってもらえると面白いなとずっと思っていました。


会うときにももちろん映画の話も聞くけど、直接話すのとは少し違うブログでもコミュニケーションがとれるといいと思うし、ブログに残しておけば、私だけじゃなく、私や姉さんの子供達もおじいちゃんのことを後々でも知ることができると思うし、ブログから始まるコミュニケーションもまたあると思うし。


私が物心ついてからずっと映画はそばにありました。いつから映画を認識していたかわからないくらい映画が身近でした。父さんと違って映画館に観に行くことは少ないけど、夫から『よくもそんなに立て続けに観れるね』と言われるくらいDVDを二、三本見るのが苦じゃないのは父さんのおかげだと思います。実家ではそんなのフツーのことでしたもんね。


今回、初めての記事なのでまずは私が初めて映画館で観た作品でも貼り付けておきたいと思います。これだったよね?


それいけ!アンパンマン キラキラ星の涙 [DVD]

それいけ!アンパンマン キラキラ星の涙 [DVD]


中身もあまり覚えてるようで覚えてないようなところもあって、確か父さんの映画館で一緒に見たと思うけど、また違ってたら教えてください。


そーいや父さんの映画館デビュー作品はなんだったんだろう?あまり聞いたことがないよね?忘れてるだけかな?またそのうちに教えてください。


簡単ですが、まずはこんなところで。


より父さんへ